がもう健の〉次郎と友子の「びっくり史跡巡り」日記 第57回

◎京都屈指の絶景を舞台からー清水寺

 清水《きよみず》さんと親しまれ、桜も紅葉も、雪景色も、新緑や若葉のころも観光客がたえない。
 国宝・重文建築がずらりと並ぶが、とくに「清水の舞台」は有名。
 坂上田村麻呂が延暦十七年(七九八)に創設した観音霊場で、西国三十三ケ所十六番目の札になっている。
 音羽山中腹にあり、山中から湧き出す名水がその名の由来。釘を使わず、柱を縦横に組む舞台造で支えられている本堂には、本尊の千手観音像が、秘仏で一般公開はされていない。
 門前町の坂を上りつめると仁王門、その右に八脚赤塗りの西門、左前に馬駅や鐘桜がある。門を入ると三重塔、経堂、田村堂、朝倉堂が並ぶ。以上はすべて重文で、さらに本堂の舞台から正面に望める子安塔、東に音羽山を背にした釈迦堂、阿弥陀堂、奥の院など計十五塔の重文建築がある。その大半は江戸時期に再建されたもの。
 山腹だけに展望のよさも魅力。京都市街のほぼ南半分が見渡せ、愛宕山を盟主にする西山連峰も一望できる。
 帰路は三年坂から二年坂、八坂道を下ると八坂塔、法観寺の五十塔で、高い建物の少ない頃は市中からよく見えた。
 「清水寺はいつか時間をかけてまわりたい」と次郎。「足が動くあいだに」と友子。

大阪きづがわ医療福祉生協機関誌「みらい」 2021年4月号収録

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