◎法起寺ー小さなお寺に大きな望み
長谷寺の門前町に、隠れ寺の風情である法起寺は、西国三十三ヶ所巡りの創始者という伝説を持つ徳道上人を祀っている。
徳道上人は長谷寺の開基でもあり、ここを晩年の穏棲地にした。長谷寺の門前町にある小さな番外札所だが、西国霊場の歴史のなかでの存在感は大きい。
本堂の右に納経所があり、奥に徳道上人の供養塔という十三重石塔が建っている。
実は、徳道上人は官僧ではなく、庶民信迎のリ一ダーともいえる私度僧だった。高級官僚へのさそいをけって、民間で押し通した徳道上人の生きざまは、庶民のあこがれの的であったはずである。
そんな徳道上人は伝説によれば、一度病死した。あの世で閻魔大王に会い、衆生済度のため三十三の観音霊場をひろめよと宝印を授けられ、息を吹き返した。
それから西国巡礼の宣伝に努めたが、思うようにはならなかった。後に花山天皇が西国巡礼を再興した。
徳道上人が庶民信仰を説き、それが盛んになることを念じたのは疑いない。
「徳道上人は何か後世のー休さんに通じるものがあるね」と、次郎。
「小さなお寺に大きな望み」だね、と友子。
「今日は一日で、長谷寺と法起寺のニケ所もまわれて良かった」と、二人。
“がもう健の〉次郎と友子の「びっくり史跡巡り」日記 第56回” への1件の返信