◎あとがき
「がもう健府政ニュース」は、一九七九年四月の府会初当選時からほぼ毎月発行し、昨年の九月で二百号に達した。このニュースに断続的にエッセ—を掲載していたが、九十七号より「郷土史エッセ—」として継続するようになり、それが現在百三回目である。
その中から今回は、特に西成区に関する話をまとめて、「今昔西成百景」として発行した。百話分になっていないのは、今後を乞うご期待としたい。すでに発行した「今昔木津川物語」とは姉妹編となり、西成百景の方が郷土史エッセーとしては先に生まれたので姉になる。
この本の中には、ゆがめられた郷土史を批判したもの、住民運動のたたかいの記録、あまり知られていない歴史の特ダネ、にまじって私の恥多き青春のひとこまも、もぐりこませてある。
郷土史研究の役割とは何か、と改めて問われてみると、私はやはり「日本史との関連で地方の歴史をみること」だと答える。そしていま日本史が古代を含めて大きく見直されているなかで、その地方史である郷土史も、 厳しくかつ全面的に再検討されるべきである。
「地獄極楽この世にござる」「神も仏もないものか」と云いたくなるような話が、每日のようにとびこんでくる今日この頃。遠い祖先より人々はこの地で、一体何をしてきたのか、またそれが歴史上どうなのか。このことを探求する以外に確信のもてるものはないのではないか。戦争とか災害とか貧困とかが、「暗い話」としてその資料が抹殺され、記録が歪曲され、人々の記憶からも消し去られようとしているときに、あえて「後向き思考」でいろんなことを再検討してみることでこそ、本当の意味での「明日への展望」が生まれる。郷土史がただ単なる「故郷自慢」ではなく、地方史として真剣な再検討がもし全国で始められたならば、世直しのうねりと必ずなりうる。こんな大きな希望をもつて、こんな小さな本をまた出した次第です。
2004年2月発行
編者注】
これで、がもう健の郷土史エッセー集「今昔西成百景」編は、完結です。引き続き、「今昔木津川物語」編と「がもう健の〉次郎と友子の「びっくり史跡巡り」日記」編を投稿します。関係各位の資料提供などに感謝するとともに、今後のご愛読をお願いします。「今昔西成百景」全編は、リンクをクリックしてください。
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