しょうにか・てとてと(008)

 前回は,<アレルギー反応>の仕組みについてお話ししました。今回は,主なアレルギー反応による病気である アトピー性皮膚炎 についてのお話しです。
 アトピー性皮膚炎は、①かゆみの強い,②特徴的な見た目の湿疹が左右対称な場所にできて、③良くなったり悪くなったりを繰り返す 病気です。最も特徴的な症状は①のかゆみで、赤ちゃんであれば頭や顔をこすりつけたり、お風呂で裸になるとおなかを手でつまんだりする様子がみられます.また,大人も子どもも、かゆくて勉強や仕事に集中できなかったり,かゆみで夜中に目が覚めてしまったりして,日常生活へも影響することがあります。
 正常な皮膚は、外の世界のいろいろな刺激から私たちのからだを守る「バリア」の役目をしています。皮膚そのものが多層構造になっており、物理的なバリアになるとともに、そのなかには免疫の細胞が常に待機していて、細菌やウイルス、化学物質などの異物が皮膚から侵入しようとしても、免疫の細胞が反応して追い出してしまいます(免疫応答)。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、この①もともと皮膚の物理的なバリアの構造に脆さがあり(皮膚バリア機能障害)、②さらに免疫細胞が過剰に反応してしまい(免疫応答の異常)、③強いかゆみが起こる、と考えられています。また,かゆくて搔いてしまうために、さらに皮膚が傷ついてしまい、そこから侵入した本来ならあまり害のないもの(ハウスダストなど)に対して免疫が過剰に反応して、…と互いに影響して症状を強くしてしまいます。こうした仕組みの起きやすさには,体質や遺伝的背景,環境など、複数の要因が関係しています。また、発症を抑える効果が立証された方法はまだありません。
 アトピー性皮膚炎がよくなった状態を<寛解>といいます、まず,適切な塗り薬などを用いて<寛解>の状態にし、その後寛解の状態を維持することで、最終的に薬がいらない状態を目指すのがアトピー性皮膚炎の治療方針です。以前は症状の強いときだけ薬を用いる治療が主体でしたが、現在は見た目の皮膚の状態がよくなってもいきなり薬をやめてしまわず、少しずつ減らしていく方法(プロアクティブ治療)により,炎症を長期的に抑えることで将来の他のアレルギー性疾患(食物アレルギー,気管支喘息,アレルギー性鼻炎など)の発症を抑えられる可能性が考えられています。また、症状の強い患者さんや,副作用の出やすい小児に対しても,内服薬や注射薬など、日常生活への影響をできるだけ小さくする、副作用の少ない治療の選択肢が徐々に増えてきています。

 次回の『アレルギーってなんだろう?(その3)』では、食物アレルギーについて少し詳しくお話ししようと思います。

 

 

※アレルギーに関する情報は、一般社団法人日本アレルギー学会が運営する アレルギーポータルサイト もご参照下さい。

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