研修医時代に、指導医の先生から、新しい疾患を経験するたびに、最新の医学論文も大事だが、必ず、その病気を記載した教科書を繰り返し読むようにと勧められた。そこで、先日、ある学会での発表で、子どもの代表的な疾病のひとつ、「溶連菌感染症」を取り上げるにあたり、久しぶりに、小児科学の名著とされる、ネルソンの「Text of Pediatrics」(小児科学テキスト)を繙いた。すると序文の中の次のような文章が目に焼き付いたので、その発表を次のように締めくくった。
『”Children are the world’s most important resource. “(子どもたちは世界で最も重要な資源です。)』
あらためて、その格調の高さに感銘を覚えるとともに、今、世界中の子どもたちが、はたしてこの通りになっているでしょうか?ロシアのウクライナでの蛮行では、子どもをはじめ、住民の命を奪っています。それに付け加え、イスラエルのガザ爆撃で、何人の子どもが犠牲になったことか?
日本でも子どもをとりまく環境も、私たちの携わる医療からみても厳しいものがあります。こんな状況でも、ネルソンの教科書にもあるように「子どもたちは世界で最も重要な資源です。」という言葉に勇気をあたえられます。そして、その医療に携わる小児科医として、わが人生を全うできそうなことに、誇りと喜びを感じます。今回の発表で、こうした場での発表を、ひとまず最後にしたいと思います。今まで、皆様のご支援に深く感謝します。これからも大阪および全日本民医連小児科にご助力を賜りますよう、切に切にお願いし、発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。」
大阪きづがわ医療福祉生協機関紙「みらい」2026年11月号搭載

